2015年03月26日

十人十色の寛ぎ「白樺荘」「高原荘」「静心山荘」

吾妻連峰02s.jpg

2015年3月某日

満天の星が迎える山の一軒宿、白樺荘

 春の胎動が里山に充ちる3月。深い雪に覆われた高湯へのアクセスも、これからの季節は日に日に軽快になる。温泉街には馴染み客が足繁く通う知られざる宿がまだまだある。今回は、一度立ち寄ればその素朴な風情がやみつきになる、日帰り温泉にもおすすめの3つの湯宿をご紹介したい。
 以前に訪れた花月ハイランドホテル(詳細はこちらのブログを参照)へ向かう手前の山道を進んだ先にある「白樺荘」は、山小屋風外観が印象的な一軒宿だ。この宿の名物露天風呂“天空の湯”は、本館から階段で少し降りた別棟にある。日帰りの入浴料は大人400円。利用するなら、まず本館の帳場での受付が必要だ。館内では花好きの女将さんが活けた季節の花々も迎えてくれる。

01白樺荘全景s.jpg02白樺荘玄関花s.jpg06白樺荘露天風呂s.jpg

09白樺荘露天風呂男s.jpg07白樺荘露天風呂女s.jpg19白樺荘内湯小s.jpg05白樺荘ラウンジs.jpg

16白樺荘読書・卓球s.jpg17白樺荘階段灯s.jpg14白樺荘客室s.jpg21白樺荘レストs.jpg

 檜造りの露天風呂は、小ぶりな3〜4人サイズ。湯船は一部に屋根がかかった造りで、ちょっとした雨風をしのぐこともできる。浴槽に洗い場はないが、周囲には涼しげな岳樺の自然林が広がり、源泉100%の湯に浸かりながら心地よい森林浴が楽しめる。まもなく訪れる新緑の季節はさぞ美しいに違いない。そんなことを思いながら、まずは喧騒と一切無縁の静まり返った山懐の温もりを独り占めで満喫。
 連れに誘われ湯上りにちょっと見学させていただいたご婦人用風呂は、景色にリズムを添える円型の湯船。男女それぞれに「宙(そら)」、「満天」と名付けられた風呂は、その名のとおり、天からこぼれ落ちるような美しい星空も楽しめる趣向だ。
 高湯の中でも高所に位置する「白樺荘」は、自然落差による源泉を引湯できなかった時代の名残から、館内にある内風呂は今もわかし湯とのこと(露天風呂は源泉から引湯)。とはいえ、肌のデリケートな女性客などにはこれもうれしい配慮だろう。宿は企業の福利厚生にも利用される施設らしく、客室わずか9室という規模ながら家族風呂としても使える貸切風呂の他、図書コーナーや卓球台、ソファのある吹き抜けの多目的ラウンジもある。ゆったりとしたその造りに「まさに別荘気分ね」と連れ。流れた時間が何とも言えない味わいとなって佇む姿は、まさに個人の私邸さながら。日がな一日、緑と鳥の声に包まれ、気の向くままに風呂に浸かり、読書をする憧れの日々が浮かぶ。
 周囲に建物がない「白樺荘」は家族はもちろん、親族での祝い事や子供会の催事、サークル合宿等での、ちょっとした賑やかな貸切にもおすすめだ。どの季節でもぞれぞれに情緒異なるプライベートコテージのような、一軒宿の愉しみが味わえる。

02高原荘全景s.jpg04高原荘玄関s.jpg17高原荘レストs.jpg06高原荘風呂廊下s.jpg

07高原荘男湯s.jpg10高原荘客室s.jpg11高原荘客室窓s.jpg18高原荘駐車場からs.jpg

13高原荘廊下オブジェs.jpg15高原荘食事処s.jpg14高原荘イメージs.jpg16高原荘食事処花s.jpg

懐かしの寛ぎが待つ展望の舘、高原荘

 続く「高原荘」は、共同浴場「あったか湯」から200m程登った道沿いの高台にある。宿の外観は昔ながらの民宿を思わせる雰囲気。食堂も兼業している宿は、入口が食事客用と宿泊客用の2つに分かれている。
 「高原荘」の風呂は内湯のみ。しかし、見晴らしの良いその立地条件から、高湯では珍しく展望を楽しみながら湯浴みができる風呂として評判だ。早速、女将さんに場所を教えていただき、2階の廊下奥にある風呂へと向かう。
 いそいそと服を脱ぎ、少し暗めの脱衣所から風呂場を仕切る暖簾をくぐったとたん、その眩しさに思わず驚く。目に飛び込んできたのは、耐酸性らしき塗料が分厚く塗られたコンクリート造りの真っ白な空間。宿の外観から像していた姿とはだいぶ異なるが、窓から射し込む午後の光を受けた湯は、温かみのあるミルキーな翡翠色を帯び何ともいえない魅惑的な美しさ。湯船は家庭用の風呂を少し大きめにしたくらいだろう。窓の外には、かつて散策を楽しんだゴルフ場跡(詳細はこちのブログを参照)越しに、遠く福島市街や阿武隈高地の稜線も見えた。
 強い硫黄泉の内湯だけあって、脱衣所と浴室の仕切りは抜気のため扉がない。そのためか、湯船の温度は少々熱め(笑)。湯口付近に加水用の蛇口はあるものの、そこは源泉かけ流しの高湯温泉。体の周りをフワフワと浮遊する湯の華を眺めながら、そのままたっぷり堪能することにした。
 「高原荘」は、風呂が客室階と同じ2階に位置し、逗留するにも便利な造りだ。眺め自慢の宿だけに客室からの眺望も素晴らしく、冬に登場するこたつも山懐の湯治気分をぐっと盛り上げてくれる。午前10時から午後3時までは、宿泊気分で部屋でのんびり寛げる日帰り入浴もできるようだ(1,600円)。テーブルと椅子が並ぶ食堂と隣り合わせた座敷には、ここを訪れた著名人のサイン色紙も連なり、手作りのオブジェや山の写真など、親戚の家を訪ねたような飾らない雰囲気が漂っている。
 常連客が数ある高湯の施設の中からあえてこの宿を選ぶ理由は、大人300円(!)という気軽な入浴料金にもあるという。伺えば水曜日の午前は引湯パイプの清掃のため、入浴は受け付けていないらしい。湯温は季節や日によっても異なるものの、熱めが好きならパイプに湯の華が付着していない清掃したての水曜の午後に、温めが好きなら火曜日が狙い目ですよ、とのことだった(笑)。

01静心山荘全景s.jpg02静心山荘裏坂s.jpg03静心山荘リビングs.jpg

05静心山荘湯階段s.jpg07静心山荘男湯s.jpg10静心山荘女湯s.jpg08静心山荘男湯s.jpg

06静心山荘湯屋入口s.jpg09静心山荘女湯s.jpg11静心山荘レストs.jpg04静心山荘クンs.jpg

秘蔵のぬる湯と創作料理、静心山荘

 3軒目の「静心山荘」は、その名がすべてをあらわす、まさに静けさと向き合う秘蔵の湯宿。玄人ファンが多いことでも知られる宿は、吾妻屋の先にある坂道を100m程登った先にひっそりと佇んでいる。アプローチは車1台がやっと通れる程の道幅で、雪が迫る冬は急カーブで身動きができなくなることもあるらしく、何度か重機による救出劇?(笑)が行われたこともあるという。
 山の斜面に建つ宿は、幾つかのログハウスが廊下で繋がる造りだ。特徴は何といっても自然林を擁する4,000坪もの広い庭だろう。緑の季節には別天地のような美しい景色に包まれ、爽やかな高原の風のなか、屋外での食事も楽しめるという。
 気になる風呂はこちらも内湯のみ。場所は母屋から少し離れた浴室棟にある。入浴料は大人400円。気さくな館主に案内されるまま、勾配のある階段をしばらく登った先で私たちを待っていたのは、無駄なものを一切排した端正な面持ちの檜風呂だった。湯船の広さは3〜4人程度。ゆらゆらと冬木立を水面に映し込む湯は、濛々と湯煙を上げるこれまで目にしてきた高湯の風呂とは対照的な物静かさで、一篇の詩のような物憂げなその姿は一目で虜になる。早速、どぼんと身をあずければ、これが人肌のような“ぬる湯”。高湯にこんな風呂もあったのかと、宝箱を開けたようなうれしさがこみ上げる。湯温が低いためだろうか。気付けば湯口は源泉を上から落とす造りではなく、浴槽奥の木囲いの中から静かに注がれているようで、これが静かな湯の佇まいを奏でている。まさに“いで癒”とでも呼びたくなるトロリとした温もりに、思わず鼻歌交じりの長湯を楽しんでしまった。
 後から伺った話によれば、「静心山荘」は100m程先にある独自の泉源を使用しているとはいえ、源泉温度が44度程度しかなく、それを引湯した浴槽内の湯温は40度前後だという。これを熟知している常連が、定期的に訪れては長湯を満喫していくとのこと。湯船の底には一週間程で数センチもの湯の華が厚く堆積し、密かに持ち帰る客もいるとのことだった。
 客室数6室という「静心山荘」は家族的なもてなしも定評で、食事時間も宿泊客の都合に配慮してくれる。初めて訪れた客にも一切吠えることなく、愛くるしい瞳で擦り寄ってくるマスコット犬の“ムサシ”も、ファンが足を運ぶ理由のひとつらしい(笑)。こちらでも午前10時から午後3時まで部屋で寛げる日帰り滞在が可能とのことだ(2,000円)。風呂とともに評判だという洒落た創作料理は、すべて女将さんの手作りで、鄙の宿とは思えないセンスを感じる味わいはリピーターたちの間でも評判だ。
 紹介した3つの宿はいずれも小規模で、憧れの我が家を訪れたような温泉別荘気分が味わえる。何よりも、賑やかさと一線を画す環境のなか、気軽な入浴料金で、しかも、いつ訪れてもほぼ独占状態で風呂が堪能できるのが魅力だ。夫婦での温泉湯治や家族旅行はもちろん、山々が彩りをまとうこれからの季節なら、山岳道路の観光ドライブやトレッキングがてらの拠点にもいいだろう。自然のリズムに抱かれ暮らすように楽しむひとときをぜひ、それぞれの心に寄り添う湯宿で満喫していただきたい。高湯が用意する寛ぎは、その誉れ高き湯質同様、深くあたたかく果てることがない(笑)。



※表示内容は2015.03現在です。お出掛けの際は必ず各旅館にお問い合わせください。

■「アットホームな憩いの宿 白樺荘」

〒960-2261
福島県福島市町庭坂字神ノ森1-8
TEL/024-591-1423
http://www.fukushimaryokan.com/dpunf/kenpoku/takayuonsen/shirakabaso/

チェックイン 15:00〜・チェックアウト 〜10:00 
日帰り入浴/400円 ※木曜日定休

[温泉の利用形態]
天然温泉(露天風呂) 
※内湯はわかし湯(貸切有)

[アメニティ]
 シャンプー、リンス、ボディソープ

[交通のご案内]
■東北自動車道
福島西I.Cから国道115号線〜県道5号線16km(約20分)

■福島交通路線バス
JR福島駅西口から「高湯温泉」行・「高湯前」下車(約40分) 徒歩10分



■「福島盆地を見渡す見晴らしの宿 高原荘」

〒960-2261
福島県福島市町庭坂高湯 
TEL/024-591-1215
http://www.f-onsen.com/kougen_sec/index.htm
チェックイン 15:00〜・チェックアウト 〜10:00 
日帰り入浴/300円 ※水曜日午前は定休

[入浴時間]
日帰り入浴/お部屋貸切1,600円(10:00〜15:00)
      お座敷休憩600円(10:00〜14:00)

[温泉の利用形態]
天然温泉

[アメニティ]
 シャンプー、リンス、ボディソープ

[交通のご案内]
■東北自動車道
福島西I.Cから国道115号線〜県道5号線16km(約20分)

■福島交通路線バス
JR福島駅西口から「高湯温泉」行・「高湯」下車(約40分) 徒歩約3分

※福島駅から無料送迎バスあり(前日までに要予約)
TEL024-591-1212(受付時間9:00〜17:00)



■「この静けさがおもてなしです 静心山荘」

〒960-2261 
福島県福島市町庭坂字高湯14-1
TEL/024-591-1129
http://www.f-onsen.com/seishin_sec/index.htm

チェックインは予約時に自己申請制
日帰り入浴/400円(10:00〜16:00) ※電話をすれば時間外も可

[入浴時間]
日帰り入浴/お部屋貸切2,000円(10:00〜15:00)

[温泉の利用形態]
天然温泉

[アメニティ]
 シャンプー、リンス、ボディソープ

[交通のご案内]
■東北自動車道
福島西I.Cから国道115号線〜県道5号線16km(約30分)

■福島交通路線バス
JR福島駅西口から「高湯温泉」行・「高湯前」下車(約40分) 徒歩約2分



posted by yusanjin at 13:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする