2015年12月21日

吾妻の紅葉巡り・花月ハイランドホテルと浄土平散策A

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2015年10月某日

眺めと湯の贅沢が待つ、天空の宿

 紅葉狩りも早くも終盤。今年最期の“見納め”を、どうせなら欲張りに満喫しようと、眺めの良さが評判の花月ハイランドホテルを再訪(詳細はこちらのブログを参照)。ロッジ風の旧館とホテル風の新館が並ぶ近代的な施設に加え、高湯温泉の最奥、見晴らしの開けた高所に位置するホテルは、季節や時間帯によって変わる吾妻連峰のダイナミックな景色が一望できる。今回は、ここを拠点に浄土平の湿原をさらに攻略する予定だ。

0202全景s.jpg0485ロビーs.jpg0505客室As.jpg

0622湯通路s.jpg0721花月観音s.jpg0924リラックスルームs.jpg0883大浴場男s.jpg

0884大浴場男s.jpg1025高湯昔絵s.jpg

 到着早々、またもや前回を彷彿とさせる雨模様。連れと2人、少々、落胆した気持ちで案内された部屋は、雄大な山景を見渡すゆったりとした角部屋。残念ながら窓の外に広がる視界はゼロだが、贅沢なその開放感に、連れのテンションも少し持ち直したようだ(笑)
 気を取り直して食事の前に、まずはひと風呂。近代的な造りと対象的に、湯浴み棟へと続く木造りの長廊下は、いかにも山の宿らしい風情あふれる佇まい。途中には、「湯あみ花月菩薩」を祀る祭壇や、“信夫高湯”と呼ばれたかつての高湯温泉街の古い絵図など、興味深い資料も展示されている。
 ここ数年、ホテルでは大浴場をはじめ露天風呂や家族風呂が次々と改修され、誰にでもやさしいバリアフリーになったようだ。リニューアルにより名前も変わった大浴場「山の湯」は、その名のとおり自然林に囲まれた、蒼い湯色に映り込むカラフルな紅葉がオパールのように神秘的な煌きを放っている。源泉かけ流し、加水加温なしの100%天然温泉を誇る高湯で、この湯船の大きさを楽しめることは、まさに最高のもてなし。湯上り処には、医療器具としても使用されている治療機も設置され、山歩き後の疲れを癒してくれる。

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 しばらくご無沙汰しているうちに、食事内容も更に魅力的になったようだ。2ヶ月毎に変わる季節の献立は、和食を中心に「牛すじの煮込み」や「ロブスターのマヨネーズ焼き」など、食欲を刺激する華やかな洋皿もお目見え。旬の「松茸ごはん」など、卓上で仕上げた出来立てをいただく趣向も増し、料理を丁寧に説明してくれる、情熱あふれる配膳スタッフの方との会話も楽しいひとときだった。
 ホテルの風呂は24時間入浴可能。夜更けに訪れた露天風呂「杜の湯」で、軒から滴る雨の音色をひとり聴きながら、程よいぬる湯心地のなか、明日の天気の回復をそっと祈る。

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2437朝紅葉観るs.jpg2751朝紅葉つばくろs.jpg2956客室朝s.jpg

3060露天風呂男s.jpg3258朝食s.jpg3575貸切風呂Bs.jpg

朝陽に輝く、秋の総天然色世界

 してやったり!の早起き千両。翌朝、恐る恐る開けたカーテンから飛び込んできたのは、何も見えなかった昨日の景色が嘘のような素晴らしい絶景だった。朝焼けの空にゆらりと立ち昇る霧のなか、福島市街地から吾妻山連峰までがくっきりと、私たちの前にその全貌を晒している。つややかに露を含んだ山々は赤や黄色、オレンジの豪華絢爛な紅葉をまとい、神々しいまでの瑞々しさだ。薄絹のヴェールを剥ぐように、刻々と移り変わる朝の光に輝きを増す景色は、まさに目が離せない壮大な大自然のドラマ。昨日の不機嫌も忘れ、連れもただただ、その絶景に言葉もなく魅入られている。
 ふと見上げれば、山と山のちょうど谷間に今日訪れる予定の「つばくろ谷」(詳細はこちらのブログを参照)の不動沢橋の姿も見える。部屋を黄金色に染めて降り注ぐ朝の光のシャワーに、素晴らしい一日への予感は高まる。
 紅葉を望む露天風呂で朝湯を楽しんだあと、晴れやかな気持ちで朝食を済ませ、予約していた貸切風呂「ひめさ湯り」(詳細はこちらのブログを参照)を2人で堪能。「せっかくのいい天気だから」と、連れはその後、さらにもう一度大浴場へ(笑)。湯に眺めに味わいに、心満たされた気分でチェックアウト。

3902不動沢滝s.jpg3803つばくろより花月s.jpg4105栂平散策路s.jpg

4413栂平s.jpg4818浄土平RH茸パスタs.jpg4919浄土平RHソースかつ丼s.jpg

コバケイソウの大群生地、栂平

 浄土平へ来るのは今季、これで三度目(詳細はこちらのブログを参照)。11月半ばから今年も冬季封鎖となる磐梯吾妻スカイラインは、紅葉の見納めに集まった人々で今日も賑わっているようだ。途中、立ち寄った「つばくろ谷」にかかる不動沢橋では、一旦、車を降り、晩秋の枯れた佇まいとなってきた不動沢滝を鑑賞。眼下には、つい先ほどまで私たちが湯浴みを楽しんでいたホテルの姿が、一軒宿のように山の頂きに佇んでいる。今日は、以前も訪れたレストハウスのある浄土平(詳細はこちらのブログを参照)のさらに南、東吾妻山の東の裾野に位置する「栂平 つがだいら」と呼ばれる園地を目指す予定だ。
 高湯温泉から走ること約30分。「栂平」への入口となる「兎平 うさぎたいら」駐車場に到着。案内板によれば、ここから「栂平」までは歩いて20分程度とらしい。ちなみに「栂平」の“栂”とはマツ科の常緑針葉樹で、堅い材質が高級建材としても重用されている。園地までの登山道沿いはこの栂の他、鬱蒼としたオオシラビソ林が続き、マイヅルソウやツマトリソウ、ゴゼンタチバナなど、一斉に開花する白い花々の高山植物を見ながらの、森林浴が楽しめるという。
 秋も終わりの紅葉の森を歩き始めて約15分。視界の開けた背後に浄土平や吾妻小富士が見えてくる。ここから目的地まではもうすぐだ。辿り着いた「栂平」は木道が敷かれた湿原と、ベンチと散策路がある園地に分かれていた。季節柄か手入れのせいか、園地のほうは視界も悪く笹薮に覆われ、景観は望めない。一方、一周10分程の小さな湿原は見晴らしも開け、歩きやすく整備されている。
 「栂平」の見どころは、何といっても7月上旬から中旬にかけて、湿原を埋め尽くして開花する、コバイケイソウの大群落だという。コバイケイソウは大ぶりの白い花を咲かせるユリ科の多年草で、一度、一斉に開花すると、その後数年間は花が咲かない不思議な植物だ。ここ最近の当たり年は2013年とのこと。湿原一面が真白に染まる光景は、夢のような美しさだという。この光景を眺めたいなら、事前に浄土平ビジターセンターで確認してからの訪問するのが得策だ。
 私たちが訪れた晩秋は、潅木の姿だけが続く芝紅葉の頃。それでも、一度に見渡せるこじんまりとした景色は、大きな湿原にはないプライベート感と親しみやすさがある。「栂平」は、観光客で賑わう浄土平のすぐ近くにありながら訪れる人も少ない意外な穴場で、野鳥の声を聴きながらゆったり静かな散策をするには最適な場所だ。花の当たり年なら、手弁当持参でぜひ、ゆっくり鑑賞してみたい。
 帰りは散策路を戻り、一旦、昼食をとりに浄土平のレストハウスへ。秋のシーズンらしく、駐車場は大型バスの姿も見え、建物内は土産売り場で品定めをする、アジアからのツアー客らしいテンポの良い会話が飛び交っている。2階のレストランで旬の「きのこクリームパスタ」(サラダ・ドリンクバー付 1,000円)と、福島名物「ソースカツ丼」(980円)、さらに桃ジュース(300円)をオーダーし、元気を補給。さあ次の「景場平 けいばだいら」へ出発だ。

5120景場平入口s.jpg5321景場平登山道危ないs.jpg5423景場平登山道の松s.jpg

5523景場平入口散策路s.jpg5936景場平の池s.jpg6233景場平の池s.jpg

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今年最期の秋、晩秋の景場平にて

 「景場平」へは、浄土平レストハウスのある駐車場から登山道を約1時間半進み、兎平や鳥子平の風景を楽しながら歩く長距離コースの縦走ルートもあるが、今回は、スカイラインの鳥子平バス停付近から「景場平」へ直接伸びる最短ルートを選択。ちょうど鳥子平登山口付近には、車が数台駐車できるスペースもある。
 「栂平」と異なり、こちらの道は最初は勾配もきつく、歩き始めの15分くらいは複雑に絡んだ“根張り”や、ゴロゴロとした岩だらけのヒヤヒヤ道が続く。昨日の雨のせいか、粘土質の土はところどころでぬかるみ、岩に張り付いた苔もツルツルとよく滑る。「景場平」へ向かう際は装備にも気を配り、行きも帰りもぜひ慎重な足運びをしていただきたい。
 やがて頭上が開け平坦な木道が現れた。道の両側には、盆栽のような枝ぶりの松の姿も見える。目指す「景場平」までは、慎重に歩いて片道約40分の道のりだ。
 標高1,700m。東吾妻山の麓に位置する「景場平」は東西300m、南北200mの湿原だ。白く立ち枯れたハイマツや背の低い潅木地帯に伸びる木道を進んだ先には、やや大きめの池塘が出現。木道はこの辺りで分岐し、東吾妻山から鎌沼(詳細はこちらのブログを参照)へと続いているようだ。晴れていれば、遠く東吾妻の山容の望めるらしいが、夕暮れの訪れが近いせいだろうか。周囲に立ち込めたガスは、さらに白くなるばかり。人影もなく、現実感からかけ離れたその世界は、黒沢映画にでも出てきそうな夢の中のようでもある。身震いする寒さに上着の襟をたて、まもなくここに訪れる長く厳しい吾妻の冬を想う。
 浄土平の急ぎ足の季節を晩夏から晩秋にかけ、追いかけるように三度、訪れてみれば、この地で脈打つ大地の鼓動と、瑞々しい自然の息遣いに触れた思いがする。ただひとつ心残りを挙げるとすれば、浄土平が“浄土”たるゆえんの、極楽のように植物たちが生命を謳歌する夏の輝きに出会えなかったことだ。旅には知れば知るほど、また訪れたくなる場所や人、景色がある。願わくば、吾妻の山川草木を育む深い雪のように、訪れては心に降り積もる、そんな旅をしたいものだ。
 「春の花見山もいいわねぇ」連れは早くも、次の春との出会いが待ち遠しいらしい(笑)。新しい季節にまた、どんな感動に出会えるだろうか。田畑を耕す人々に、春を告げる吾妻小富士の“種まきうさぎ”の雪景が、私も今から楽しみでしょうがない(笑)。





■「花月ハイランドホテル」 *表示料金は2015.12現在

〒960-2261 
福島県福島市町庭坂字神の森1-20
TEL/024-591-1115 

チェックイン 15:00  ・チェックアウト 〜10:00 
日帰り入浴/10:30〜22:00 700円
※入浴回数券7,000円(11枚綴り)あり

[温泉の利用形態]
天然温泉・源泉100%。完全放流式、加水なし、加温なし 

[アメニティ]
 大浴場と内湯/シャンプー、リンス、ボディーソープ、石鹸、ドライヤー等

[交通のご案内]

■東北自動車道
福島西I.Cから国道115号線〜県道5号線16km(約30分)

■福島交通路線バス
JR福島駅西口から「高湯温泉」行・「ハイランド前」下車(約40分) 徒歩約2分

※福島駅西口まで送迎いたします(要予約)
【お迎え】午後3時/【お送り】午前10時30分

★紅葉の名所として名高い磐梯吾妻スカイラインのスタート地点まで車で約1分。
 高湯温泉から土湯峠へ吾妻の山並みを縫う雄大なパノラマコースは必見です。
 <平成27年11月15日〜平成28年4月中旬/冬季閉鎖>
※通行料は恒久的に無料化されました


■浄土平
磐梯朝日国立公園の吾妻連峰にある山岳景勝地。「日本の道100選」にも選ばれている観光道路、磐梯吾妻スカイライン(全長29km ※11〜3月は閉鎖)の途中に位置する湿地帯で、一切経山と吾妻小富士に挟まれ、辺りは噴火による火山礫に覆われている。夏の高山植物をはじめ秋の紅葉が素晴らしく、シーズンにはダイナミックな景観と可憐な植物の姿を求めた多くの人々で賑わう。自然探勝路の起点となっている標高約1,600m付近には駐車場(有料)も整備され、ビジターセンターの他、レストランや売店もあるレストハウスや天文台もある。

◎ビジターセンター
住所/福島市在庭坂字石方1-4 吾妻・浄土平自然情報センター内
TEL/024-591-3600
営業時間/9:00〜16:00 ※冬期休館

◎レストハウス
TEL/0242-64-2100 ※開館期間のみ
   《024-525-4080(福島県観光物産交流協会)》 

◎浄土平天文台
住所/福島市土湯温泉町字鷲倉山浄土平地内
TEL/0242-64-2108 ※開館期間のみ
   《024-525-3722(福島市観光課)》 
開館時間/9:00〜16:00 ※冬期休館
休館日/月曜(祝日の場合はその日以降の平日)
入館料/無料

◎つばくろ谷
磐梯吾妻スカイラインにある「吾妻八景」のひとつ。不動沢滝が流れ落ちる深い谷に2000(平成12)年に新たに架けられたアーチ橋、不動沢橋は長さ170m、谷底までの高さ84m。紅葉の名所としても知られ、橋上から眼下に望む光景は圧巻。まるで車が宙を駆け抜けていくように見える。周辺には駐車場や展望台、トイレも完備されている。

◎栂平 つがだいら
桶沼(おけぬま)から土湯峠方向に約1km進んだ先にある、キャンプ場利用者のための兎平駐車場に登山口がある。湿原を埋め尽くして開花するコバイケイソウの大群落が見事。鬱蒼としたオオシラビソの森が続く登山道は6月から7月にかけ、ゴゼンタチバナやマイヅルソウなど、さまざまな高山植物がいっせいに開花し、瑞々しい緑と白い花の群落を観賞しながら森林浴が楽しめる。浄土平、兎平方面の展望も良い隠れた名所。

◎景場平
東吾妻山の麓に位置する東西300m、南北200mの湿原。湿原は火山灰土が堆積し、そこに東吾妻山からの地表水や地下水が流入して水が溜まり形成されたもの。スカイラインの鳥子平バス停の登り口から約40分、レストハウスのある浄土平を起点に鎌沼、姥ヶ原、東吾妻経由で約4時間。

↓「栂平」・「景場平」へのルートはこちら ※ピンクの破線部分
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↓浄土平のMAPはこちら 
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↓パンフレットはこちら
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浄土平施設案内01.jpg浄土平施設案内02.jpg

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posted by yusanjin at 13:05| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする